大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和31年(う)3170号 判決

被告人 池上貞治

〔抄 録〕

控訴趣意第四点に対する判断。

刑法第九六条の規定は公務員の施した封印又は差押の標示を無効ならしめる罪を定め、その方法の典型的なものとして損壊行為を掲げているのであつて、「封印破毀」なる罪名は、同条所定の罪を汎称するものであるから、公務員の施した標示を無効ならしめた行為につき、「封印破毀」なる罪名を掲げることが事案の真相に符合しないものであつて不当というべきではない。所論の賍物に関する罪における収受、故買等は各自別個の犯罪行為の体様として規定されているが故にその罪名を異にするものであつて、本件の罪とはその趣を異にするものであるから引例として適切ではない。

しからば、本件において検察官が起訴状に掲げた「封印破棄」なる罪名は公訴事実に符合するものであり、原審が右罪名を変更しなかつたとてなんら違法をもつて目すべきではない。であるから所論は排斥せらるべく、論旨は理由なきものである。

(中野 尾後貫 堀真)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!